チャツボミゴケとは、PH2.0〜4.6程度までの強酸性火山性水域に成育するウロコゲ目ツボミゴケ科の苔類で学名は「ユンゲルマンニア・ブルカニコーラ」。世界中の蘚苔類、約18,000種の中でも最も耐酸性の強い特異な苔である。
群馬県中之条町の最奥部、入山地区西端に位置するこの地は、かつて群馬鉄山と呼ばれ国内第2位の生産量を誇る露天掘り鉱山として栄えた。昭和19年の操業開始から昭和41年の閉山までに約300万トンの鉄鉱石を産出し、最盛期には2,000人以上が従事していた。 |
穴地獄から湧き出る強酸性の鉱泉に育まれたチャツボミゴケの群生は圧巻で、その緑一面の川面は秋の鮮やかな紅葉と相俟って神秘的な光景を織りなしていた。
東アジア最大級の群生を形成し、その環境や生態系が評価され、芳が平湿原周辺の自然遺産とともに、2015年5月、ラムサール条約に登録された。また、「バイオミネラリゼーション」と呼ばれる、生物が鉱物を作り出す作用により、現在でも鉄鉱石の生成が行われているという。上信越高原国立公園の一部でもある。 |