しかし、1年の半分を深い雪に閉ざされる五箇山の風土は、唄や踊りを愛し、楽天的でしぶとく、しなやかに信心深い人々の心を育んだ。
厳しい自然の中で、人々はよく働き、子ども達はよく親の仕事を手伝った。農作業は朝早くから夜暗くなるまで行われ、嫁は働き手であった。
日中は赤ん坊は藁で編んだつぶら(いずめ)に入れられていて、育児は主に祖母に託されていたため、子守歌を歌う風習はなかったという。
様々な伝承と風俗、祭りや民謡の数々は、大切に守られてきた先人の想いを受け継ぎ、暮らしてきた山人のぬくもりを感じさせてくれる。
合掌造り家屋や山村風景は、その古き良き日本の伝統を色濃く残しながら、五箇山の山峡に静かな佇まいを見せていた。
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