昔むかし、下野(しもつけ)の佐野の人たちは、寺久保川や旗川などの水を使って田畑を耕し、生活をしていました。ある年の冬のこと、日照り続きで川の水位も下がり井戸水も底をつくようになりました。
人々は出流原の磯山の麓に集まり、雨乞いのお祭りをすることにしました。 山の頂上にボんデンを揚げ、2日2晩笛や太鼓を打ち鳴らし、
「天の神様に申し上げます。しばらく雨が降りませんので百姓は夏になっても作物が育たず困っています。どうか雨を降らせて私たちを助けてくだせい。」と、何度も何度もお願いしました。
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すると、麓の人丸神社あたりに白い着物を着た老人が現れ、杖で岩をつつくと不思議なことに滾々と水が湧き出しました。
「俺たちの願いを神様は聞いてくれたのだ。バンザ〜イ、バンザ〜イ・・・」と磯山の麓は夜明けとともに村人の歓びの声でうずまりました。
それ以来、磯山の水はどんな日照り続きの年でも涸れることなく、この付近の田畑を耕すお百姓さんたちを喜ばしました・・・・とさ。
(「下野伝説集」より要約)
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