磐梯朝日国立公園は、昭和25年9月5日に国立公園に指定された。面積は187,041ヘクタールで山形、福島、新潟の3県にまたがっている。「出羽三山・朝日地域」「飯豊地域」「磐梯・吾妻地域」「猪苗代地域」からなっており、ここ浄土平は「磐梯・吾妻地域」に属し、磐梯吾妻スカイラインの中間地点の標高1,600メートルに位置している。一切経山、吾妻小富士、桶沼にかこまれたこの一帯は、一切経山の火山噴火により生成された火山荒原と、オオシラビソを主とする針葉樹林の原生林となっている。
また、高山植物群落や亜高山帯の針葉樹林湿原なども点在し、ビジターセンター、休憩所、自然探勝路が設置・整備されているので、手軽に亜高山の自然を楽しむことができる。
土湯峠を経由して「磐梯吾妻スカイライン」に入り浄土平に車を停める。早朝のため、駐車場のおじさんはまだ出勤していない。トイレで歯磨きと顔を洗う。水はとても冷たい。浄土平周辺は、標高1,580mで夏でも涼しい別天地だ。
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浄土平の東、目の前に美しく鎮座する吾妻小富士(あずまこふじ)[1,705m]は浄土平のシンボルとなっている。福島方面から眺めるその姿は、まさに秀麗な小型の富士山を思わせ、早春には「種まき兎」といわれる雪形が見られるらしい。
頂上へは駐車場から10分程で登れる。すり鉢状の火口の外周は、1.5kmで30分ほどでぐるりと釜めぐりができる。火口周遊路に柵などははもちろんない。覗き込むとすり鉢の底まで急斜面になっていて、巨大な蟻地獄のようだ。
浄土平の北側にそびえる一切経山(いっさいきょうざん)[1,949m]は、現在も噴煙をあげる活火山だ。山肌は荒れ草木はほとんど生えていない。浄土平から一切経山への登山ルートは、火山礫におおわれたきつい登り坂で、健脚者向けのコースとなっている。山頂から望む数々の名山、そして山頂から北側にある「魔女の瞳」と呼ばれる五色沼の眺めは格別だそうだ。次に訪れるときは、ぜひ登ってみたいと思った。
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