福井県三方郡美浜町と三方上中郡若狭町にまたがる「久々子(くぐし)」「水月(すいげつ)」「菅(すが)」「三方(みかた)」「日向(ひるが)」の5つからなる湖、三方五湖(みかたごこ)。
「若狭なる三方の海の浜清み いゆきかえらい 見れどあかねかも」と万葉集にも謳われた景勝地だ。
若狭湾国定公園の一部であり、2005年11月にはラムサール条約指定湿地に登録された。
ラムサール条約とは、湿原の保存に関する国際条約で、水鳥を食物連鎖の頂点とする湿地の生態系を守る目的で、1971年に制定され、1975年12月に発効した。条約が作成された地であるイランの都市ラムサールにちなみ、この通称で呼ばれるようになった。
日本国内では、北海道の釧路湿原をはじめとして全国で33ヶ所が指定されている。
三方五湖周辺は、若狭湾内にありながら、リアス式海岸で有名な切り立った日本海とは対照的な、なだらかな湖岸風景となっている。 |
成り立ちを辿ればその昔、三方五湖は海岸から遠く離れた内陸の湖だった。第4氷河期が終わり、縄文時代前期になると海水面は3〜5メートルも高くなり、久々子湖は大きな入り江となった。その後、耳川によって運ばれた土砂が入り口をふさぎ、入り江は潟湖となった。
他の湖は50万年前に三方断層の沈降部にできた断層湖とみられている。五つの湖は運河や人工水路などによりすべてつながっている。
「三方」は完全淡水湖、「水月」「菅」「久々子」は汽水湖、「日向」は完全塩水湖である。
それぞれの湖は水質、水深が異なり、水の色も四季折々に変化を見せることから「五色の湖」とも呼ばれている。
レインボーラインとケーブル・リフトで標高約400メートルの梅丈岳(ばいじょうだけ)山頂に登ると三方五湖が一望できる。頂上は庭園になっていて、愛や決意を表す「誓いの鍵」が、チェーンなどに多数掛けられている。願い事を託した「かわら投げ」もできる。 |