『ヒマラヤ』は、サンスクリット語で「雪の住処(スミカ)」、「ヒマール」は「雪山」を意味し、南のインドから見たヒマラヤ山脈の景観を表現した言葉だ。
ヒマラヤを構成する主な山脈は、ヒマラヤ山脈、カラコロム山脈、ヒンドゥー・クシュ山脈であり、中国、ブータン、インド、ネパール、バキスタンなどにまたがっている。
地球上にある7,000メートルを超える峰はこの地域以外には存在しない。
ヒマラヤ山脈は地球上で最も若い山脈の一つであると言われている。
現代のプレート・テクトニクス理論によれば、その成り立ちは、大陸同士の衝突による造山運動から生じたらしい。つまり、インド・オーストラリア・プレートが北に移動してユーラシア・プレートの下にもぐりこみ、海洋地殻に押し出された海底の堆積物が隆起してできたのだと言う。
インド大陸の大陸棚を形成していた4億6千万年前の海生生物の化石を含む地層は、大陸衝突によって1万メートル近く持ち上げられた事になる。
エベレスト山頂部から120m下までの地層はチョモランマ層と呼ばれる石灰岩で、海ユリや腕足貝、三葉虫化石が見つかっている。
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その下のイエローバンドも海底に堆積した堆積物からなり、岩肌がもろく崩れやすいため、登山家の間では登頂最後の難関として恐れられているそうだ。
現在もプレート運動は続いているため、ヒマラヤ山脈は年間1センチ程度上昇しているといわれている。
ところで、面白いことに気がついた。
7〜8,000m峰が存在する地域だが、最北に位置する天山山脈のボベーダで北緯42度、北海道の函館付近と同緯度。南に位置する世界最高峰のエヴェレストは北緯約28度で奄美諸島・徳之島付近と同緯度だ。
ここに展示した写真は、カトマンドゥからポカラに向かう機上からのマナスル山群と、ポカラの街から見えるアンナプルナ山群である。
私がこの地を訪れたのは、1975年の冬で、写真家の篠山紀信氏、イラストレーターの横尾忠則氏も取材に来ていてご挨拶をした記憶がある。
ポカラは、ヒマラヤからの水を集めた美しいベア湖畔にあり、アンナプルナ連峰を一望できる素晴らしい景勝地だ。
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